酸素投与の恐ろしさ!〜ナルコることへの恐怖も持とう〜
呼吸不全患者つまり呼吸に異常がある方に対して
一型呼吸不全(低酸素血症)と二型呼吸不全(高炭酸ガス血症)
どちらの患者にも必要なのが酸素療法ですね!
どの病棟にも一人は酸素投与を行なっている患者はいるのではないでしょうか!
私も呼吸器の病棟で勤務しているわけではないですが、酸素療法を行なっている患者さんを受け持つ機会がよくあります!
「酸素が下がるのが恐くて◯◯Lのままで様子をみていました。」って聞く事があるのですが、、、
『CO2ナルコーシスへの恐怖心は持っているのかーい』とツッコミたくなります!
[目次]
1.CO2ナルコーシスとは
2.CO2ナルコーシスの原因
3.CO2ナルコーシスの発生機序
1.CO2ナルコーシスとは
CO2ナルコーシスとは、CO2の蓄積による、二酸化炭素血症によって意識障害などの中枢神経障害を呈した状態を示します。
- 重症呼吸性アシドーシス
- 意識障害
- 自発呼吸の減弱
「CO2ナルコーシスの3徴」が主な徴候として出現します!
2.CO2ナルコーシスの原因
CO2ナルコーシスの原因として考えられる基礎疾患としては、肺気腫や慢性気管支炎などの慢性閉塞性肺疾患(COPD)や気管支喘息、肺結核後遺症や筋萎縮性側索硬化症(ALS)、重症筋無力症などが挙げられる。ここに肺炎などの呼吸器感染症やうっ血性心不全、気胸、あるいは手術などの侵襲が加わると発生しやすい!
3.CO2ナルコーシスの発生機序
通常、人は身体にあるCO2を出そうとして換気をするのですが(図1)
(図1)
原因疾患があると常にCO2が通常よりも身体にあるので、CO2が身体にあることに
慣れてしまいます。そうなるとO2の量によって呼吸を調整するのです!(図2)
(図2)
つまり、原因疾患や誘発因子を持っている患者への不必要な酸素投与を行い続けると
身体の中の酸素が増える
⬇️
換気が減る
⬇️
CO2が身体の外に出せない
⬇️
1.重症呼吸性アシドーシス
2.意識障害
3.自発呼吸の減弱
「CO2ナルコーシスの3徴」が出現し、
CO2ナルコーシス
という事が起こりうるのです!
『じゃあ酸素使わない方がいいの?』って思うかもしれませんがそれでは本末転倒ですよね!使わないのではなく、あくまで慎重に使用しましょう!
★慢性Ⅱ型呼吸不全に対する酸素投与
1分間に 0.5l程度の低流量から
酸素投与を行うことを原則とする
とある場所である人が
『酸素の使いすぎは毒だと思うくらい慎重に使うべきだ』
とおっしゃられていたのを聞いたことあるのですが、
それくらいの心持ちでちょうど良いのかもしれませんね!
ちなみに歴史的にみても酸素は大昔、生物にとって本当に毒でした!
当時は酸素を有効に使うことができる生命はごくわずかの細菌を除いては存在しておらず、生物の体を作っている細胞やDNAの構造を破壊していました。
人間の祖先ももともとは酸素を苦手としていましたが、酸素を有効に使うことができる細菌(ミトコンドリア)と一緒になることで、酸素を用いて生命維持に必要なエネルギーを効率的に生み出せるようになったと考えられています。
こういう話を知ると酸素投与への意識が少し変わるのではないでしょうかね( ・∇・)